「いえ、わたしに考えがあります。どうぞ安心して私にお任せ下さい」
数馬は、自信ありげに言った。その夜、数馬は父上の能見篤之進に事件のことも、これから自分がやろうとしている事も全部打ち明けた。篤之進は止めること なく、「よし、わかった」と、友人の北町奉行遠山影元に手紙を書くから、明日それを持って北町奉行所に行きなさいと、長文の手紙を書いてくれた
Dream beauty pro 脫毛。
奉行は、人の良さそうな笑顔で、「承知した」と、言った。自分に捕り手を付けて欲しいと頼んだところ、奉行は自分も行くと言いだした。
「それはあまりにも…」と遠慮する数馬に、能見殿のご子息に傷でも負わせてはならんからと、町人に姿を変えて付き添い、隠れて付いてくれることになった。
行先は奉行の配下、同心の田中将太郎の屋敷であった。数馬は独りで屋敷に入っていった。
「私は水戸藩士能見篤之進の倅で、能見数馬と申す者です」と、応対に出た使用人らしき男に告げると、すぐに将太郎が戸口に立った。
「拙者に何か用か
母乳餵哺?」
相手が若造とみて、ぞんざいな言葉で応対してきた。
「はい、殺された岡っ引き達吉のことでお耳に入れたいことが御座いまして」
「あゝ、達吉か、私の元で十手を預かっていたが、可哀想なことをした」
「達吉さんが殺される前日に、両替屋の押し込み強盗の手がかりを掴んだと言って、こっそり話してくれました」
「ほお、どんなことだ」
「はい、この事件には、北町奉行の同心が関わっているとか」
「それは誰だね
歐亞美創醫學集團 」
「私がここへ来たのは、どうしてかとお聞きになりませんね」
「その同心が、このわしだとでも言うのか」
「さあ、それは今ここで明かしますと、私の命が危のう御座います」
「小野川の渡しで、押し込み強盗の手引きをした両替屋の手代が口封じに殺される現場も目撃したと言っていました」
「貴様、達吉とどんな関係だ」
「子供の頃から可愛がって貰っています。親子みたいな関係でしょうか?」
「小野川を下り、大川へ出る前の、夜は人通りのない船着き場と言えば、宮里ですね」
「それがどうした?」
「両替屋から奪った千両箱は、宮里あたりに隠されていることでしょう。捜索はされましたか?」
「そんな漠然とした情報で捜索は出来ない」
「何故で御座いますか?達吉の調査では盗まれた千両箱の中身は、上方の商人と取引するための両替用の丁銀であったそうです。蔵改めをすれば出る筈です」
「あははは、若造、考えが甘いぞ、千両箱の中身は全部小判であったわ」
「おかしいな、そんな筈はないのだが」
「お前は、もうここから生きては帰れぬから教えてやろう。盗賊楽天組の頭目はこのわしじゃ」
「やはり、そうでしたか。序にその小判の行方は?」
「貴様のいう通りじゃ、宮里のある寺の墓地に眠っておるわ」
「そうでしょう。あの寺には、田中家の先祖の墓がありますからね」
「よく調べておるのう。達吉が調べたのか?」
「いえ、これはわたしの当てずっぽうでございます」
田中将太郎は手を打って、仲間を呼んだ。
「もういいぞ、出て参れ」
奥から人相の悪い男たちが二人出て来た。 数馬も叫んだ。
「遠山さま、お聞きに成りましたか」
頬被りをした遠山影元が「おゝ、聞き申した」 その声を合図に捕り手がずらり。
捕えた三人を吐かせて、盗賊の残りも総て捕えられ、盗まれた小判も発見された。盗賊は悉く市中引き回しのうえ、磔獄門の刑となった。仙一は父親の弔いを済ませ、数馬と共に北町奉行遠山左衛門尉影元さまのところへお礼に行った。
お奉行は気さくな人柄で、すぐに合ってくれた。
「いやいや、礼はこちらが言わねばならない。お蔭で事件は解決した」
奉行は獅子身中の虫を見抜けず、達吉を死なせてしまったことを詫びた。
「達吉さんの遺体の傍に落ちていた印籠はどうなりましたか?」
「あれはとある藩の武士がスリに盗まれたものだった」
「お奉行様、ひとつお願いがあります」
「褒美の品か?」
「いいえ、岡っ引き達吉の倅どのを、下っ引き見習いに就かせて下さい」 「そうだなァ、成績の良い同心を見付けて、任せてみよう」
「きっと、達吉さんのような立派な岡っ引きになりましょう」 なァ、と数馬は仙一に言った。
仙一は嬉しそうに、よろしくお願いします。と、頭を下げた。 帰り道、「仙一さん私達、良い友達になれそうですね」
数馬は、仙一の肩をポンと叩いていった。 末は、仙一に能見家の養子になって、同心、いや与力にもなって貰いたいと思う数馬であった。